子供の命を見守らなければならない日々の保育に加え、行事の準備、書類の作成、保護者への対応と保育士の仕事はストレスフルです。
そんな中、同僚の様子おかしいことに気づき「もしかしてうつ病なのでは」と感じた時、どのような対応が必要なのでしょうか。
うつ病の相手に中途半端な励ましをすると、かえって逆効果になってしまうこともあり、注意が必要です。
この記事では、同僚の保育士にうつ病が疑われたときにどのように対応すればよいか考えていきましょう。
保育士はうつ病になりやすい職業
東京都福祉保健局が平成30年度に行った「東京都保育士実態調査」で明らかになった保育士の退職理由を見てみると、全体の10%以上が健康上の理由で保育士を辞めていることが分かります。
実は保育士はうつ病のような精神疾患にかかりやすい職業と言われています。
その理由は保育士の仕事内容や人間関係、保育士自身の性格にあります。
保育士の仕事は子どもの命を守らなくてはならないため、大きな責任を感じる仕事です。
ここに、日々の保育の準備、壁面製作、保育記録や連絡帳記帳などの日常業務が加わります。
月ごと、季節ごとに行われる行事を成功させるため、夜遅くまで準備が必要になることも珍しくありません。
さらに、保育士を取り巻く人間関係はとても複雑です。
保護者にはいつも丁寧に明るく接することが求められますし、ちょっとした言葉の行き違いがクレームに繋がることもあります。
さらに女性が多い職場であることから、同僚との関係にもストレスが付きまといます。
保育士を目指す人は子どものために頑張る真面目で責任感が強い性格をしていることが多いです。
そのため仕事で大きなストレスを抱えているにもかかわらず、つい無理をしてしまい、気が付いたときにはうつ状態に陥ってしまうのです。
もし同僚がうつっぽい場合にはどう接すればいい?
同僚に元気がないと、「頑張ってね」と励ましたくなったり、「そんなに大変なんてかわいそうだね」と同情したくなったりしますが、。これらの行動は、うつ病に対する対応としてはNG行為になります。
うつ病になりやすい人には、真面目で責任感が強い傾向があります。
本来は優秀で仕事ができるという場合も多いです。
そのような人がうつ状態にあるということは、頑張るだけ頑張って限界を迎えている証拠です。
この極限状態の中で「頑張ってね」と励まされると、本人はこれ以上どう頑張っていいのか分からなくなってしまうのです。
また「かわいそう」という憐みのこもった同情の言葉は、相手の自尊心を傷つけてしまうことにもなりかねません。
うつ気味の人に接するときは、相手の話をよく聞いて、その気持ちに共感することが大切です。
こちらから何かを伝えるというより、できるだけ相手が話しやすい雰囲気を作って、相手の気持ちをそのまま受け止めてあげましょう。
園長に代わりに報告してあげるのは?
うつ病になりやすい保育士は真面目で正義感が強く、優秀な人が多いです。
そのようなタイプの人は自分に厳しく、誰かに弱みを見せるのを躊躇してしまう傾向があります。
近くで見ているあなたから見ればあきらかに様子が変だとしても、上司の前では毅然としてふるまい、仕事の辛さを隠してしまう場合もあります。
もしあなたが話を聞いてあげようとしても、うまく気持ちを開いてくれず「大丈夫です」とかわされてしまうこともあるでしょう。
そんな時は無理に話を聞こうとせず、まずは他の保育士や主任、園長などに相談してみましょう。
あなたにとっては相手を思いやってかけた言葉が、逆に同僚を追い詰めることになってしまう可能性もあります。
うつ気味の同僚に対しては、職場全体でケアを考えていくことが大切です。
同僚への対応に困った場合は、自分一人で判断をしないようにしましょう。
接し方が分からない場合は第三者機関に接し方を相談してみよう
うつ病の相手に対する対応は、非常に難しいものです。
通常の励まし方が裏目に出て、かえって病状を悪化させてしまうこともあります。
かといって、声をかけるのを遠慮しすぎると、冷たい印象を与えてしまいます。
どのような接し方が正解なのか分からず困っているなら、第三者機関に相談してみるのも1つの手段です。
精神科・心療内科医での相談はもちろん、病院に行くのはちょっと敷居が高いという人は、厚生センター・カウンセリングセンター・地域活動支援センターでもうつ病の相談をすることができます。
大事なのは自分で勝手に接し方を判断しないことです。
専門家の意見を聞いて、本当に同僚のためになるにはどのような言葉がけや態度が大切かを考えてください。
うつっぽい同僚にしてあげられる一番のことは話を聞くこと
うつっぽい同僚を見ているのはつらいものです。
何かしてあげたくてつい「頑張ろうよ!」と励ましたり、「そんなに大変なんてかわいそう」と同情したくなってしまいます。
しかし、うつ気味の相手に対しては、話をじっくり聞いてあげることが一番です。
独断での対応はうつ状態をかえって悪化させてしまうことになるかもしれません。
もし上手に対応する自信がない場合は、上司に打ち明けたり、第三者機関に相談して適切な対応方法を教えてもらうようにしましょう。