私立と公立の保育園はどう違う?元保育士が解説

保育士になりたいと考える時に、「公立の保育園と私立の保育園どちらが良いの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

中には認可保育園=公立、認可外=私立と間違ったイメージを持っている方も多くいます。

実際は、公立も私立も認可保育園を運営しているため、分かりにくいと思う人も多いでしょう。

この記事は、公立保育園と私立保育園の違いやメリット・デメリットを元保育士が解説します。

保育園には公立と私立がある

保育園には公立と私立二つの保育園があります。

主な違いとしては、公立保育園は地方自治体が運営しているのに対し、私立保育園は株式会社やNPO法人など、民間企業が運営しているところが多いのが特徴です。

保育園の数や園児の人数は公立保育園より、私立保育園の方が運営している企業の種類が多い分、私立保育園の方が多いといえるでしょう。

公立保育園 私立保育園
運営団体 地方自治体(市区町村) 民間企業(社会福祉法人、株式会社、NPO法人など)
園数(全国合計で良い) 8,711 18,421
園児数 890,484人 1,189,630人
保育内容 均一 園によって保育方針や内容が違う

公立保育園で働いている人は地方公務員として勤務をします。保育内容も公立保育園はあまり差がないのが特徴です。

それに対し私立保育園は、株式会社や宗教法人など運営している団体によって差が出ると言ってもよいでしょう。

公立はすべて認可、私立には色々な種類がある

ほとんどの方のイメージは、公立保育園は認可保育園、私立保育園は認可外保育園だと思う人が多いのではないでしょうか?

実際は、公立保育園はすべて認可保育園で、私立保育園は認可保育園だけではなく、様々な種類の保育園があります。

公立保育園 認可保育園
私立保育園 認可保育園
認証保育園
認可外保育園

上記の図のように公立保育園は認可保育園のみですが、私立保育園は認可保育園だけでなく、認証保育園、認可外保育園も運営していることがわかります。

公立保育園も私立保育園も認可保育園を運営していますが、保育料に差があるのでしょうか?

保育料は違う?

公立の保育園も私立保育園も認可保育園を運営している点では同じです。

その場合、保育料は違うのでしょうか?

同じ認可保育園でも公立保育園の方が保育料が安いイメージがあります。

しかし、実は認可保育園であれば国や地方自治体から補助金が出ていることもあり、保育料に大差はないのです。

それ以外の保育園、認証保育園や認可外保育園の場合は、保育園によって保育料が変わります。

公立保育園と私立保育園の保育士の働き方の違い

実際に保育士として働く場合はどのような差があるのでしょうか?

一番の違いは、公立保育園で働く場合は地方公務員扱いとして働くので、採用されるためには公務員試験に合格する必要があることです。

また公務員試験には年齢制限があるため、公立保育園で働きたいと考えている場合は、早めに試験を受けるとよいでしょう。

年齢制限はおおよそ30歳までなので、年齢制限を超えてしまうと勤務することはできなくなります。

また、公務員として働くことになるため、副業は禁止されています。

臨時保育士として働く場合も地方公務員扱いのため副業はできないと言えるでしょう。

副業ありきで働きたいと考えている場合は私立保育園で勤務する方が良いといえます。

私立保育園の場合は、正社員として勤務し、入社する際も保育園または企業が独自の採用基準を設けているところが特徴で、年齢制限はありません。

待遇の良さは公立の保育園の方が良いという声も多いですが、近年私立保育園でも待遇を改善しようとする動きや副業を許可している保育園も増えてきています。

公立保育園だから良い、私立保育園だから悪いというわけではありません。

公立保育園 私立保育園
採用基準 地方自治体の公務員試験合格 保育園独自の採用基準
働き方の種類 正職員、臨時職員、パート・アルバイト(※派遣保育士は雇用元が別会社なので除く) 正社員、契約社員、パート・アルバイト(※派遣保育士は雇用元が別会社なので除く)
保育方針 均一 保育園独自の保育方針
年齢制限 年齢制限あり
保育園によって異なるが、大体30歳まで
年齢制限なし
勤務時間 時~20時までが基本

定時で終わることがほとんど

保育園によって勤務体系が変わる

長時間勤務になりやすい

給料(昇給・賞与など) 公務員であるため、待遇が良い 勤務している保育園によって差が出やすい
待遇(福利厚生・保険・休暇・退職金制度など) 福利厚生も充実していて、有給、産休が取りやすい 勤務している保育園によって差が出やすいが、処遇改善のため、充実している保育園が増えてきている。
異動 あり 保育園によってはあり

私立保育園でも待遇改善の動きが出ていますが、待遇で選ぶなら現状では公立の保育園を選んだ方が良いでしょう。

環境を変えずに一つの保育園で長く働きたい場合や、運営元が行っている独自の教育プログラムなどに興味がある場合は、私立保育園でも良いでしょう。

私立保育園は保育園によって給料などの待遇面に差が出てしまいますが、入社前に事前に下調べしておくことによって待遇面もカバーすることが可能です。

公立保育園と私立保育園それぞれで働くメリット・デメリット

公立保育園と私立保育園についての違いはわかったけど、働くならどっちが良いの?と悩まれる方も多いでしょう。

公立保育園と私立保育園どちらかが優れているというわけではなく、それぞれメリットデメリットがありますので、自分の希望する条件と照らし合わせてみると良いでしょう。

公立保育園 私立保育園
メリット 公務員として勤務するため、福利厚生や賞与などが安定している

私立と比べて開園時間が短く、定時で上がれるところが多い

年齢の幅が広く、ベテランの保育士が多い

敷地が広く園庭があるところが多い

独自の教育プログラムを導入しているところがある異動が少ない

待遇が改善する動きがある

若い年齢の保育士が多い

年齢制限がなく、働きやすい

副業が許可されている保育園が増えてきている

デメリット 異動がある

年齢制限がある

公務員のため副業ができない

保育園によって給料、福利厚生に差がある

保育園の状況によっては定時で上がれないこともある

実際の声としてはベテラン保育士も多く、定時で上がりやすい公立保育園の方が良いのではないか?という声もありますが、確かに待遇面では公立の保育園の方に軍配が上がります。

しかし公務員試験を受けなければいけない点や、異動があることについて不満があるという声もありました。
私立保育園も保育園によって待遇面に差が出やすいこともありますが、公立の保育園と違って異動が少なく、年齢制限がなく働きやすいところ公立の保育園よりも働きやすい点です。

私立保育園の待遇が改善する動きが見られたり、副業が許可されてきている保育園も増えてきているので、保育士として自分がどのように働いていきたいか考えた上で決めると良いでしょう。

元保育士から見た公立と私立の違い

元保育士としての意見ですが、大学に通っていた時は公務員として公立保育園で働く方が良いなと思っていました。

実際に働いてみると、確かに保育園の開園時間も私立と比べて短く、待遇面も不満はありませんでした。ベテランの保育士もいるので、人間関係で不満がなければいつでもアドバイスをもらうことができました。

しかし異動のため、0歳で受け持っていた子どもたちを卒園まで見守れなかったという後悔はありました。

公立の保育園は定期的に異動があるので、子どもたちを卒園まで見守れないということも出てきます。

子ども達と一番多く関われるのは担任だと思いますし、子どもたちと接しているうちに愛着も湧いてきます。

子どもたちに「先生いなくならないで」と言われて胸が痛む思いでした。

私立で働いていた時は、場所によってはベテランの保育士が少なかったり、作業量や待遇面で不満に思うことがありました。

良い部分としては、公立の保育園果たせなかった、自分が受け持った子どもたちを担任として卒園まで見守れたということだといえます。

公立の保育園の場合は、卒園児が通っていた保育園に行っても担任だった先生がいないということも珍しくありません。

私立の場合は、卒園児が保育園に顔を出した時に会えるというところは良い部分だと言えるでしょう。

公立保育園と私立保育園の違いを解説しましたが、公立と私立どちらかが良いというわけではなく、一長一短だと言えるので、自分が働きたいビジョンに沿って決めると良いでしょう。

私は待遇面などに不満はあったものの私立保育園で勤務できてよかったと思います。

私立保育園の待遇面について改善しようとする動きがみられるため、今後保育士の待遇が良くなっていくことを願います。

自分に合った保育園、働き方を選ぼう!

公立保育園は地方公務員として勤務するため、給料や福利厚生が安定しているなどのメリットがありますが、年齢制限があること、採用されるためには公務員試験を通らなければならないことなど、入社するまでが難しいことが難点でもあります。

定期的に異動があるので、一つの保育園で継続して働きたいと考えている人には向かないかもしれません。

私立保育園は、保育園によって給料や福利厚生に差が出てきますが、企業側によって独自の教育プログラムや研修などを導入しているところが増えてきています。

環境の変化が苦手な方や子どもたちを卒園まで見守りたい方は、異動が少ないところは魅力的に映るのではないでしょうか。

公立の保育園と違って年齢制限もないため、一般企業から保育園に転職する人にとっては安心して入れる場所だといえるでしょう。

妊娠や出産で現場を離れた人にとっても戻りやすいというメリットがあります。

近年、私立保育園でも待遇の改善が見られる動きがあるため、待遇だけで判断せずに自分のライフスタイルと相談して決めるとよいでしょう。