保育士の給料はなぜ『低賃金』のままなのか?今後の改善余地はあるのか

保育士の仕事は膨大な作業量と比べ、安すぎる給料のため辞めてしまう人が後を絶ちません。

実は、保育士の平均給料額だけを見ると年々上がり続けています。

なぜ平均給料額が上がっているのに、保育士の給料問題はなくならないのでしょうか?

この記事では、保育士の給料が低い理由とその対策、新人保育士が転職を成功させるためのポイントについて紹介していきます。

保育士の給料は確かに全職種の平均年収と比べると低い

給料が低いと言われている保育士の給料ですが、厚生労働省の発表では、平均月収22万円で、ボーナスを含めると年収342万円だと言われています。

この数値だけ見ると低すぎるというわけではないかもしれませんが、保育士の仕事に付きまとう責任と作業量の多さを見てみると割に合わないと考えている人が多いのが実情です。

保育士の給料が低い3つの理由

保育士の給料が低いのには、保育園の歴史的背景や保育園の運営実態、民間営利企業の参入など色々な問題が背景にあります。

具体的には以下の3つの理由が、保育士の給料が低い主な理由としてあげられます。

理由1:保育士の責任や役割は重くなる一方、給料が並行して上がってこなかったため

保育士の仕事が誕生したのは、1948年に児童福祉法が制定され、児童福祉施設が認可されると共に、保母資格が誕生したからだと言われています。

この頃は保育士の仕事自体の重要性が低くとらえられたため給料が少なく設定されていました。保育士の役割もそこまで多くなかったところも給料が低い理由として挙げられています。

しかし、現在では保育士資格も国家資格になり、保育士の需要も高まってきています。仕事量や責任が増えてきても、保育士の仕事の重要性が低く見られていたため、給料は並行して上がってこないままになっていました。

また、男女雇用機会均等法の制定のため、保育士の数が増えてきたこともあり、特に対策を打たなくても新たな保育士が増えていったことから、保育士の給料が低いままになってしまったことの原因でもあります。

理由2:国や自治体からの補助金額が上がってこなかったため

保育士の給料が低いもう一つの理由としては、国や自治体からの補助金額が上がらなかったことも原因の一つです。

補助金の仕組みとしては、保育園の運営のためには高額な運営費が必要ですが、ほとんどの世帯では高額な保育料を支払うことが困難なため、国や自治体が、認可保育園に補助金を出し、保護者の負担を軽減する取り組みを行っています。

認可外の保育園の保育料が高いのは補助金が出ないためだからだと言えるでしょう。

保育士の給料に直結する補助金なのですが、補助金の支給額としては、保育園をギリギリ運営できる最低ラインを基準にしているため、保育士の給料に補助金を回すどころか、認定保育園の運営していくこと事態がギリギリとなっているため、保育士に補助金を回す余裕がない保育園が多いのも実情です。

保育士の給与は、この限られた補助金から支払われるので、どうしても給料が低くならざる負えなくなります。

補助金を増額すれば保育士の給料が上がるじゃないかという声もありますが、実施すると国や自治体の財政が大きく圧迫されるために、現在でも補助金の増額が行われていない状態が続いています。

理由3:民間企業など様々な営利団体が参入できるようになったため

保育士の給料が低い最後の理由としては、民間企業などの営利団体が参入できるようになったためです。

2000年に規制緩和をおこなったことから、企業やNPOなどさまざまな事業者が運営に参入できるようになりました。

そのため、保育園の運営を民間企業や営利団体に業務委託する保育園も増えてきています。

保育園を運営していくにあたり、保育の質を考えると運営費の8割以上を人件費に割きたいところですが、民間企業や営利団体が参入するようになった結果、人件費を5割や3割まで抑える傾向も見られるようになりました。

保育園の人件費が抑えられるようになると、必然的に保育士の給料も抑えられてしまうため、総じて保育士の給料も下がってくるようになってきています。

実際に今勤務している保育園が、保育士の配置基準を下回っていて、給料も平均より下がっている場合は、会社側が保育園の人件費を抑えている可能性があります。

そうなると保育士一人ひとりの負担が大きくなっているのに給料が上がらないという結果になり、退職率も増え、さらに負担が大きくなるという悪循環に陥ってしまうため、場合によっては転職を考える必要があるでしょう。

実は、年々保育士の平均給料額は上がり続けている

保育士の給料が低い理由の説明の後では驚かれるかもしれませんが、実は保育士の平均給料額自体は上がり続けています。

その理由としては、保育士処遇改善等加算という制度が導入されたからだと言えます。

保育士処遇改善等加算とは、国が保育士の給料の引き上げとキャリアアップを図るために導入した制度のことで、処遇改善手当を支給することで、保育士の給料面の不満の改善を促し、待機児童を減らすことに繋げることを目的としています。

2013年に処遇改善等加算Ⅰが設けられ、給与の3%分(月額約9,000円)の支給から始まり、5年後の平成30年度(2018年)には3%から11%(月額約35,000円)と保育士への手当の支給額は上がっています。

今までは保育士より上の役職は、園長、副園長、主任しかありませんでしたが、保育士処遇改善等加算Ⅱを導入することにより、保育士と主任保育士のあいだに「副主任保育士」「専門リーダー」「職分野別リーダー」という3つの役職を導入することになりました。

これにより、保育士の経験・スキルに応じて役職を与え、それぞれに処遇改善手当を支給されるようになります。今まで長く勤めていても給料が変わらないということがなくなるようになりました。

職務分野別リーダーであれば、月額5,000円。副主任保育士や専門リーダーの場合は、最大で4万円も支給されるようになります。

このように、保育士の平均給料額は上がり続けていると言っても良いでしょう。

平均給料額はアップしているみたいだけど・・・なんで私のお給料は上がっていないの?

保育士処遇改善等加算が導入されたことにより、保育士の平均給料額が上がり続けていますが、実際に給料は上がっていないと感じる保育士も多いのが現状です。

その理由としては以下のような問題点があるからだと言えるでしょう。

処遇改善手当の使い方は保育園次第

処遇改善手当は、国から認可保育園に支給されるものですが、その後の補助金の使い方、つまり補助金をどう分配するかは運営者が自由に決められるため、園によっては規定の金額が支払われない可能性があります。

給料として満額支給するところもあれば、ボーナスでまとめて支給するところもあるなど、支給方法は特に決まってはいません。

新しい役職に就いても給与が上がらないといった声も多く聞きます。その理由として、支給を義務付けられている役職が、職務分野別リーダー(一律5000円)、副主任保育士や専門リーダー(最大4万円)のみとなっているため、上記の役職に支給すれば、残りの補助金はどう分配しても良いことになっているのが理由であるといえます。

処遇改善手当を受けることができる人数には制限がある

副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーとご紹介した3つの役職ですが、条件を満たしていても全ての保育士がなれるわけではありません。

副主任保育士、専門リーダーは園に在職する保育士全体の1/3、職務分野別リーダーは1/5の人数となり、制限が設けられています。

経験年数が長くてスキルがあっても、役職に就くことができなければ処遇改善手当をうけることができません。

都道府県や市区町村によって保育士の待遇に差がある

全ての地域が処遇改善手当が受けられるかと言われるとそうではありません。

地域によっては、物価の違い、保育士の需要が高いか低いかによって支給される額に大きく変わってきています。

東京都は、保育士の求人数1位であり、常に保育士の需要が高い地域であるといえるでしょう。

4万円の処遇改善手当にプラスして4万4,000円を支給しています。

逆に、人口が少なく保育士の求人が少ない地域では補助が少ない傾向にあります。

このように保育士の需要によって差が生まれるようになりました。

以上のことから、すべての保育士の給料がアップする訳ではないのですが、保育士の給料を上げることが現在の処遇改善の課題でもあり、処遇改善が行われる予定であると言われています。

今後さらに処遇改善が行われる予定なので、さらに保育士の給料が改善される可能性は高い!

今後さらに国や地方自治体による保育士の処遇改善が行われると言われているため、今後保育士の給料額はさらに改善されていく可能性は高いといえるでしょう。

しかしすぐに改善されるということはなく徐々に上がってくるというのが実情でもあります。

一方で現在勤めている保育園が、処遇改善をされているはずのに、給料が上がらないと感じている方は一度現状をしっかりと把握しておいた方が良いでしょう。

役職が上がっても給料が上がらない、保育士の人数が少なくて負担が大きい、しかも給料は平均より下回っている。

そんな状態に直面した場合は、各保育園の運営方法が原因である可能性があるため「きちんと処遇改善を行なっている保育園への転職」や「保育士に対して独自で支援を行なっている地方自治体の保育園で働く」など転職を考えてみた方が良いかもしれません。

保育園でも副業を許可している場所も増えているため、転職しないにしても収入を上げるために、「ベビーシッターなど副業も考えてみる」など自分で今の状況を変える検討をすることが重要といえるでしょう。