人間関係や待遇面への不満から転職を考える保育士は大勢います。
実際に、現在転職したいと考えている方の中には「先輩保育士とうまくいかずに悩んでいる」という方や「給与の額に納得がいかない」などといった不満を持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ転職するとなると、保育士として働く忙しい日々の合間を縫って転職活動をしなければならなくなるため、体力的にも精神的にもつらくなってしまう方も多くいるはずです。
転職活動を短期間で終わらせるためには、自己PR欄で志望する園に自分の良さをしっかりとアピールすることが大切です。
自己PR欄を読んで良い印象を与えることができれば、高い評価につながります。
今回は、採用担当者に「会いたい!」と思ってもらえるような自己PRを書くための書き方を例文付きで紹介します。
書類選考に通るためには履歴書や職務経歴書の自己PR欄が重要
自己PR欄とは、履歴書や職務経歴書に用意されている自分の強みや得意分野などを記載するためのスペースのことです。
志望動機では、「なぜその保育園を志望したか」や「保育園でのキャリアプラン」を書くのに対し、自己PR欄は、自分の強みや経験、得意分野などの能力やスキルなどの人柄をアピールするために設けられています。
保育士の仕事は人柄が重視される職業なので、自己PRでの第一印象は非常に大切です。
採用担当者が自己PRを読んだ時に「会いたい」と思ってもらえるかどうかが、書類選考を通過かどうかを左右すると言っても過言ではありません。
採用担当者が自己PRを見て、あなたと一緒に働く未来を想像することができれば、書類選考での評価も高くなるはずです。
「会いたい」と思わせる自己PRを書く5つのコツ
「会いたい!」と思ってもらえる自己PRを書くためはいくつかのコツがあります。
ここでは保育士転職の自己PRを書く時に使えるコツを5つ紹介します。
まずは志望する園の特徴を調査から!
保育士の転職のための自己PRを書くためには、志望する園の特徴を調査することが大切です。
なぜなら、自己PRはただ単に自分の強みを書いていけば良いというものではないからです。
志望する園について、「どんな特徴があるのか」や「どのような取り組みを行っているのか」などを調査し、そのうえで自分にできることはないかを考察していくことが重要となります。
人柄が伝わる自己PRを書くために、まずは志望する園についての情報を調査するところから始めてみましょう。
志望する園の特徴と自分がこれまでやってきた事の共通項を見つけよう!
志望する園の保育方針や取り組みについて調査したら、自分がこれまで経験してきたことや実績を振り返って、その園で「活かせること」を見つけてみましょう。
各園にはそれぞれ、保育方針があります。
採用担当者は、園の保育方針に沿って「最大限に取り組んでくれる保育士」を探しています。
例えば、英語教育に積極的に取り組んでいる園に応募するとします。
その時、自己PR欄でTOEICの点数や英語の塾講師としての経験をアピールすれば、一緒に働くイメージを持ってもらえるかもしれません。
調査した情報を元に、志望する園と自分の共通項を探して自己PRに盛り込むことが大切です。
自分の短所や失敗も改善したり乗り越えた経験として書けばプラスに!
自己PRに短所や失敗した経験を書くと、「印象が悪くなるかもしれない」などと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、人は誰しも短所や失敗の経験を持っています。
その経験をプラスに捉えらえ、自己PRにどう書いていくかが大切なポイントとなります。
そこで重要なのは、短所や失敗の経験を隠したり取り繕ったりすることなく、正直に書くということです。
短所や失敗を正直に書いたうえで、具体的なエピソードを盛り込むとよいでしょう。
ここで大切なのは、短所や失敗のエピソードから「どんな気づきを得たか」や「どのように改善したのか」などを具体的に書くことです。
つまり、「失敗から気づきを得て、改善できた経験がある」という短所や失敗を選ぶと良いでしょう。
短所や失敗を正直に伝え、それを自分で乗り越えているという点で、採用担当者に「誠実さ」をアピールすることができます。
将来の目標やキャリアプランを書こう!
採用担当者は、できるだけ園で長く働いくれる保育士を探しています。
そのため、自分のキャリアプランはしっかりと考えておく必要があります。
過去と現在のことだけではなく、将来の目標やキャリアプランを書くことで「この人はしっかりと先のことまで考えてやっている」という印象を持ってもらうことができます。
「働きながら民間資格の絵本専門士を取得したい」「主任保育士として働きたい」などといった長期的に働くことを意識した目標やキャリアプランを書くことで、仕事に対するモチベーションや責任感をアピールすることができます
エピソードなど具体的な根拠をつけよう!
自己PRには根拠となるエピソードをつけると説得力が増します。
例えば長所を書く場合は「私は明るくポジティブな人間です」のように、ただアピールするだけではなく、その事実を裏付けするエピソードや実績を伝えるようにしましょう。
転職の場合は、他の園で働いた経験の中でのエピソードを自己PRに盛り込むと「保育士としての経験がある」という点で「即戦力になってくれそう」などといった良い印象を持ってもらえるはずです。
【例文で分かる】一体どんな事が自己PRとして書けるの?
志望する園の特徴と自分との共通点あらやキャリアプランを明確にしたら、いよいよ自己PRを書いてきましょう。
ここでは、自己PRとして使えるアピールポイントと、それぞれのアピールポイントについての例文を紹介します。
責任感が強い
保育の仕事は保護者から大切な子供を預かっているという立場から、責任感強さが求められます。
責任感の強さを長所として挙げることは、「何事も諦めずに試行錯誤しながら努力することができる」「任された役割に対して主体的に取り組むことができる」などという評価に繋がります。
<例文>
前職では、「子供たちの成長を少しでもサポートしたい」という思いから、保育士にできそうなことは提案するようにしていました。その中で、他の園児よりも成長が少し遅く、なかなか輪の中に入ろうとしない子どもがいるクラスの担任になりました。私は「なにかこの子のためにできることはないか」と保育士の立場からできることを考え、「人に親しみを持ってもらうために声掛けを増やす」などといった小さなステップを設定しながら徐々に関わりを深めていきました。その結果、友達の輪の中に自分から入って行けるようになりました。貴園でも、与えられた役割に対して責任を持って取り組み、しっかりと貢献できるように頑張ります。
体力がある
「体力がある」ということをアピールしたい自己PRには、日々の運動習慣などの運動に関するエピソードや実績を盛り込むことで体力面だけではなく、精神力や忍耐力もアピールすることができます。
保育士は、子供たちに接するだけではなく、日々の業務や季節ごとの行事の運営などさまざまなところで体力が必要となります。
生活発表会の大道具作りをはじめ、運動会の際のテントの設営など重い物を運ぶ機会も多く、腰を痛める保育士もいるほどです。
また、体力がなく体調を崩しやすい方は、欠勤への懸念だけではなく子供から感染症をもらいやすいことから敬遠されがちです。
逆に、「前職で病欠が0日だった」という場合は積極的にアピールすると高い評価を得られやすくなります。
<例文>
私は体力に自信があります。普段から体調管理や運動を習慣にしており、前職では2年間で病欠が0日でした。また、高校時代に陸上部で長距離を始めて以来、今でも毎日3キロのランニングを続けています。ランニングを継続する中で友達も増え、日々の活力になっています。貴園でも休むことがないよう体調管理を徹底し、日々の業務や子どもと関わる時間をよりよいものにしていきたいと考えています。
自分の短所や失敗経験
自己PRでは、自分の短所や失敗を隠さず正直に書くことが大切です。
保育士での転職を考えている方の中には「短所や失敗を書くと悪い印象を持たれそう」などと考える方もいるのではないでしょうか。
実は、短所だけを書くのではなく短所を長所に変えたり、失敗を乗り越えた経験をエピソードとして盛り込むことでアピールポイントとなるのです。
<例文>
私は人よりも心配性で、まだ起きていないことを考えては不安になってしまうことがあります。しかし、不安になるからこそ、そうならないため計画することで大きな失敗や事故を予防してきました。前職で、小麦の食物アレルギーを持った園児に同僚が他の子どもと同じ小麦を使用したパンを配ってしまうというミスがありました。しかし、毎回個人的に行っていた指さし確認の際に気づいて回収することができました。貴院でも、確認や予防を怠ることなく、日々の業務に取り組んでいきます。
子どもが好き
子どもが好きということをアピールする時は、具体的にどのようなところが好きなのか、好きになったきっかけは何だったのかなどのエピソードを盛り込むと、採用担当者が一緒に働く場面をイメージしやすくなります。
基本的に保育士は子どもが好きでないと務まりません。
そのため、子どもがあまり好きではないという方は保育士の仕事を続けづらい傾向にあります。
長く働いてくれる保育士を探したいという採用担当者にとって、「子供が好き」という基本的な事項は良いアピールポイントになります。
<例文>
私が保育士を目指すきっかけとなったのは、年の離れた妹ができたことです。妹が生まれた当初から、おむつ替えをしたりミルクを作ったりと世話を焼いていました。妹の成長を目の当たりにして、子どもをサポートする喜びを感じたのを覚えています。その時の経験が保育士としての仕事に活きていており、特に食事介助では、食事をあまり食べない子どもに対して「食べれたらかっこいいね」などと一人一人に合った声掛けをすることで食事を促していきました。貴園でも、初心を忘れず子どもとの関わりを大切にする保育をしていきたいです。
人とのコミュニケーションが好き
「コミュニケーションが好き」という長所を自己PRに書く場合、「誰とのコミュニケーションが得意なのか」「どのような場面においてコミュニケーション能力が発揮されるのか」などを具体的に盛り込むことを心がけましょう。
コミュニケーションは保育士として働くうえで大切な能力です。
職場の同僚とのチームワークはもちろん、保護者との信頼関係を保つうえでもコミュニケーションが必要となってきます。
実際に、東京都福祉保健局が東京都の保育士登録者48,000人を対象に行った「平成30年度保育士実態調査」によると、保育士の退職を考えた理由として「職場の人間関係」「保護者対応の大変さ」など、コミュニケーション能力が求められる項目が上位10項目以内に入っています。(※1)
保護者や同僚と円滑なコミュニケーションができるということは、大切な子どもを安心して預けられるという信頼感に繋がります。
採用担当者からすれば、「園をよりよいものに導いてくれる」などといった期待が持てる人材として評価されるはずです。
<例文>
前職で働いた4年間、私が心がけていたのは保護者の信頼関係を深めることです。そのために、送迎の時間のコミュニケーションを大切にしてきました。1クラス15人の園児がいる中で、一人一人の様子をしっかりと観察し、保護者にその日の様子を適切に伝えることを心がけた結果、「○○先生には安心して子どもを任せられる」とおっしゃっていただくことができました。今後も細やかな気遣いやコミュニケーションを怠ることなく、子どもを安心して任せられる保育を実践していこうと思っております。
受賞歴や資格取得など客観的な事実や経験
受賞歴や資格取得など、客観的な事実や経験をアピールするための自己PRは、それぞれの賞や資格を取得するためにどのような工夫をしたかということや、どのようなことに取り組んだのかなどのプロセスを具体的に書くことが大切です。
そして自己PRの終盤には、「受賞や資格取得の経験からどのようなことを学んだのか」「今後の保育士としての仕事にどう活かすのか」に触れることで採用担当者があなたの今後の活躍をイメージしやすくなります。
<例文>
私はこれまで、子ども一人一人に寄り添った保育を実践してきました。子どもは発達段階や健康状態、興味があることなどが一人一人異なります。そういったことを観察し把握したうえで、保育の内容や接し方について検討することが大切だということを実感しました。保育園に通う園児の中には、複雑な家庭環境で保育園ではわがままを言ってしまうというような子どもも見られます。そういった子どもは愛着形成に問題がある場合が多いことを知りました。そのような子どもの保育の内容や接し方を検討するためにはさらなる知識が必要であると考え、昨年にはチャイルドマインダーの資格を取得しています。今後はこの資格を活かして、さらに質の良い保育を実践していきたいと考えております。
人の役に立つことが好き
人の役に立つことが好きという自己PRを書く場合、そのままでは伝わりづらい傾向があります。
役に立つことが好きと一概に言っても、「細部まで気配りが出来る」「根気よくサポートし続けられる」など様々なタイプがあるので、人の役に立つために何ができるかを具体的に書くと良いでしょう。
保育の現場で人のために役に立ったエピソードを添えることと思いやりがある人柄をさらにアピールすることができます。
<例文>
私は人の役に立つことに喜びを感じます。保育の現場では、子どもに寄り添った保育をすることで子どもの成長をサポートすることができる点が魅力であると感じています。今までできなかったことができるようになった時の子どもや保護者の笑顔は私にとってかけがえのないものです。前の職場では、トイレトレーニングがなかなか進まない子どもに対し、絵本でトイレで排せつをするイメージを持ってもらうようにしたり、シールを使って達成感を引き出したりと様々な工夫をしました。その結果、子どもは自分から進んでトイレに行くことができるようになりました。子どもの「できた!」という言葉や、保護者からの「ありがとう」という言葉は私の原動力となっています。貴園でも、自分に何が求められているのかをよく考え、少しでも役に立つことができるよう努めたいと考えています。
前向きで明るい
「前向きで明るい」という自己PRは、困難にも前向きに立ち向かい乗り越えた経験をエピソードとしてアピールするのがコツです。
保育士の仕事は、子どもと言っても一人の人間を相手にしているので思い通りにならないことの連続です。
思い通りにならないことや困難に直面した時も、前向きな思考で明るく乗り越えていける保育士は保育の現場にとって必要な人材です。
前向きで明るく、何事もポジティブに捉えられる人柄は良いアピールポイントになるでしょう。
<例文>
前職では、4歳児クラスの担任を受け持っていました。クラスの中には挨拶もままならないほど人見知りをしてしまう子どもがいましたが、毎朝欠かさずこちらから挨拶をしたり、安心感を持ってもらえるようなゆったりとした遊びを取り入れるなど前向きに取り組んでいきました。けれどもなかなか思うようにいかず、声をかけても逃げていってしまうという状況が続きました。しかし、根気よく声かけを続けていくうちに徐々に挨拶を返してくれるようになり、今では自分から遊びに誘ってくれるまでになりました。これからも、前向きで明るい性格を活かし、困難に打ち勝っていきたいと考えております。
育児経験
育児の経験を持って転職する保育士は、保育士としてのスキルだけではなく、保護者目線で保育を実践することができる人材として大変重宝されます。
自己PRでは、これまで保育士として培ってきた経験だけではなく、育児経験から得たことを盛り込みましょう。
<例文>
育児がひと段落した後、前職の保育園に復職し2年間勤務しました。育児をするまでは目の前のことで精一杯という感じでしたが、育児を経験したことで広い視野で子どもたちを観察し、保育に活かせるようになりました。また、保護者としての立場も経験したことで、保護者が保育士にどのようなことを求めているのかが理解できるようになりました。貴園では、育児の経験を活かして保護者が安心して子どもを預けられるような環境づくりをしていきたいと考えております。
特技
特技についての自己PRは、志望する園が求める人物像に合った特技を選ぶのがコツです。
志望する園のニーズに合った特技を選ぶことで、「園をより良くしてくれる人材なのではないか」などといった期待が生まれ、評価が上がります。
園が自己PRで知りたいのは、応募者の人柄や能力、その園に対する志望度です。
特に特技は、人柄や能力の部分が見えやすい傾向にあります。
今まで努力してきた成果や継続して取り組んでいること、特技に関連する資格などを具体的なエピソードとともに書くことで、園からの印象がアップするはずです。
<例文>
私の特技はピアノです。5歳からピアノを習い始め、短大在学時には県のコンクール優勝することができました。前職ではピアノのスキルを活かして積極的に歌の時間を設け、手遊びやリトミックなどのリズム遊びを取り入れてきました。協調性がなくすぐに集中力がなくなってしまっていた子どもがいましたが、周りと合わせて歌ったり踊ったりする中で徐々に協調性が養われていく過程をみることができたことが保育士としてのやりがいに繋がりました。貴園でも特技を活かした保育を積極的に取り入れ、子どもの成長をサポートしていきたいと思っております。
自己PR欄で相手に「会いたい!」と思わせよう!
自己PR欄は採用担当者にあなたの人柄をアピールするチャンスです。
自己PR欄を読んで良い印象を持ってもらうことができれば、面接でも興味を持って話を聞いてもらうことができます。
もし自己PRの内容に悩むようならば、転職エージェントに操短してみるのも一つの手段です。
保育士専門の転職エージェントの中には、履歴書や職務経歴書の内容を一緒に考えてくれる会社もあります。
また、第三者の目線から客観的に人物像を分析してもらうことで、新たなアピールポイントが見つかることもあるはずです。
「会いたい!」と思ってもらえるような自己PRを書くために、は第三者の意見を取り入れながら「伝わる自己PR」を書きましょう。